初夏ー
緑滴るこの季節に吹く風は、
花冷えのする春の風とは明らかに違う、心地よい風。
薫る風、「薫風」とは誰がなずけたのでしょう。
薫り高き爽やかな風は、人のみならず生きとし生けるすべてのものを、
みんな爽やかにしてしまう…薫風とはそんな力がある気がしてなりません。
それにしても、
いにしえの日本人の感性には、ほんとうに驚かされます。
風の名前だけでも気が遠くなるような呼び名があるからです。
風だけではありません。
たとえば花が散ることを表現する言葉を拾ってみましょう。
梅や桜は「散る」といい、椿は「落ちる」、牡丹は「くずれる」、朝顔は「しぼむ」、
萩は「こぼれる」と表現しています。
四季の変化の豊かな、恵まれた大自然の中で育った日本人の感性の豊かさが、
限りなく美しい日本語を生み出したのでしょう。
こうした日本語が、ひとつまた一つと死語になっていき、
カタカナ言葉や、耳を覆いたくなるような言葉のみが氾濫しています。
国際人と呼ばれる人を目指すならば、
英語を自由に駆使し、洋服をスマートに着こなす人を目指すのではなく、
自国の文化に誇りをもち、大切にしてゆく心の持ち主になって戴きたいと思います。
その心は、それぞれの国の文化を尊重し、大切にする心に繋がるからです。
時には携帯電話を操作する手を休め、
やわらかな緑色の新芽が芽吹く木々を愛で、
初夏の風に吹かれながら、散歩してみませんか?
時間やお金をかけずとも、
遠い場所まで行かずとも、
すぐ近くにだって素敵な風景はあるはず。
初夏の風は、
きっとあなたを、やさしく迎えてくれますよヽ(*´∀`)ノ