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松屋から、四季折々の情景をお伝えします。

旅の終わりに
2014年2月12日

2012年2月10日(金) 一人の若者がこの世を去りました。

大竹智浩君、享年28歳。

 

以前もこのブログで書きましたが、
彼はジャパニストという本の編集に携わっていました。
わたしは、その本にエッセイを連載させて戴いていたため、
とてもお世話になった人でした。

 

ああ、もう2年が経ってしまったんだ・・・
そんな思いで、一昨日は心で手を合わせていました。
そして今日、
その大竹君のご両親から、小包が届いたのです。
お手紙とともに同封されていたのは、
「イギリス・スイス旅行記」と題した本。
なんと、著者は大竹君ではありませんか!
わたしは、はやる気持ちを抑えながらページをめくりました。

 

彼は、ジャパニストの編集に携わる転職前の休業期間を利用して、
英国とスイスへの一人旅をしていたのです。
そしてその時の旅の様子が、黒い表紙の日記帳にびっしりと書かれてありました。
ご両親は、突然の一人息子の死に、彼の部屋へ入ることさえ辛くて・・・
それを見つけたのは、亡くなって一年近く経っていたそうです。

 

ご両親は、息子の足跡をたどるべく仕事や交友でご縁のあった国内各地を巡る旅に出られ、
昨年6月には英国を旅されたそうです。
そうして、美しい建築物、鉄道、原風景などを眺め、
古きもの、伝統を大切にしてきた英国という国を理解するにつれ、
なぜ息子が英国への旅を選び、楽しんだのかがわかったといいます。

 

帰国後、彼が書き溜めた日記をふたたび手にとり、すみずみまで読まれたご両親は、
日記をこのままにしておくのはしのびなく思われ、やはり以前ジャパニストの編集に携わっていた
佐藤さんの協力を経て、一冊の本にまとめられました。
旅を終え、大竹君は次のように書いています。

 

「動く・受け入れる・感謝する
何かをする上で、あるいはしようとする上で、この三つはとても大切と気づかされた。
まずは、動く。
動けば変わるのだ。
例え自分の望む結果でないにせよ、動くことで多少なりとも状況が変わる。
今までと異なった風景が見える。それを踏まえまた歩く。その連続だ。
そして、何が生まれようとそれを受け入れるということ。
これはおそらく、三つの中で最も実行は難しい。
受け入れるというのは、とても大変なことだ。しかし、受け入れられると強い。
どんな状況、結果にも感謝できるようになる。
最後の、感謝することは、自分にとってもプラスになる。
どんどん世の中が素晴らしく見えてくる。
暖かい部屋とベッド、温かい食事。
よくよく考えてみると、これらはとてもありがたいこと。
それらを受けられるのは奇跡的なことだ。
今まで普通に、当然に思っていたことも実はとっても有難い。
この、動く・受け入れる・感謝するという三つは、
人間の根本を成す精神ではないかとさえ、今は思っている」

 

そして彼は、
「最後に今の所感」と題し、

 

文章を書くというのは、こんなにも困難なことか・・・

 

と綴っています。
わたしは今、なんとも形容し難い気持ちで溢れています。
謙虚で、ひたむきで、一生懸命に生きた大竹君が偲ばれ、
惜しい人を亡くしたという思いもまた、溢れきて・・・
涙がとまりません。

 

そして、
いつまでも、いつまでも、愛し続けておられるご両親。
この本を通し、少しでも息子のことを知って欲しい、
折りにふれこの本をひもといて、偲んで欲しいー
その強くて熱き思いが胸を打ちます。

 

お父さん、お母さん、大丈夫です。
わたしたちは、けっして大竹智浩くんを忘れることはありません。
大竹くん、だいじょうぶ。
わたしたちは、けっしてあなたを・・・忘れない。

 

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