防空ごう
2013年4月3日

幼いころ、夜になると停電することがよくありました。
ロウソクの灯りはやさしくて、皆が小さく肩寄せ合うことが嬉しかったからでしょうか、
わたしは停電が嫌いではありませんでした。
しかし、叔母は「仕事にならなくて困るわ」とつい愚痴ります。
そんな娘に、祖母はいいました。

 

「な~んも。停電になったとて爆弾が落ちてくるでなし。防空頭巾もかぶらず、防空壕に入らず
済むんじゃぞ。こうしてわれらが平和に生きちょるのは、先人の方々のおかげじゃて、のぅ」

 

いま、わたしたちはいかに倖せであるかを、つい忘れがちです。
どれほど多くの尊い命の上にいまがあるという、そのことをー
祖母が生きていた時は、戦時中のことをたくさん聞かされました。それは、とても貴重であり
大切な話であったと思い知らされます。

 

食べ物ひとつとっても、その一つひとつの命に感謝して「いただきます」と手を合わせる前に、
まずはお国のため・のこされた家族のためにと戦った、先人たちへの感謝がありました。
今思うと、それはとてつもなく大きいと感じています。
それさえ心に刻み続けておれば、今のような日本を悪者にとしたてあげられた国になど、
なってはいなかったと思うからです。

 

多くの外国人が絶賛した誇るべき素晴らしい日本人の名を、歴史の教科書に載せない国になど
決してなってはいなかった… 
祖母の言葉、祖母の教えこそ、いまこの時代に必要な気がしてならないのです。

 

      防空ごう 防空頭巾 その影に 戦いぬいた 勇姿忘れむ

 

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