ほたる
2012年7月5日

幼い頃ー
今は亡き祖母と口ずさむ声に応えるかのように、姿を現した、蛍。

 

   ほー ほー ホタル来い
   あっちの水は苦いぞ
   こっちの水は甘いぞ
   ほー ほー ホタル来い

 

露草の咲く、ちいさな川のほとりで、ゆら~り ゆらゆら飛び交う蛍は、
とっても幻想的で、美しいものでした。
「蛍は、水以外何もとらずに飛び続けるんじゃぞ」
と、祖母が教えてくれました。
歌にあるように、実際に蛍は甘い水を好むということも…。

 

蛍といえば…
和泉式部もこんな歌を詠んでいます。

 

    もの思へば 沢の蛍も 我が身より
    あこがれ出ずる 魂(たま)かとぞみる 

 

抜け出した魂が、蛍となって飛んでいくー  だなんて…なんと美しや。
儚げだけれど、雅で一途な心をもっているようで…
なんだかちょっぴり蛍に憧れてしまいそうな、そんな季節です。

 

     恋に焦がれて鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす

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