松屋から、四季折々の情景をお伝えします。

老舗の支え
2012年5月23日

どの業界にも流行があるように、和菓子もまた例外ではありません。
生どら・白い鯛焼き・いちご大福・水まんじゅうetc…  流行り廃りとはよく言ったもので、

 

一時はブームとなったとしても、長続きしないのがほとんどです。
ごく稀に、そうしたお菓子を求めてご来店される方もいらっしゃいますが、残念ながら当店では
一切扱っておりません。古くからのお客さまから、そうしたモノのご要望も一件もありません。
流行にも乗らず、特別な新製品を生み出すことなくも、こうして三百年以上もの永きにわたって
商売を続けてこられたのはなぜかといえばー

 

いにしえの人々が長い年月をかけ、試行錯誤の上に今の和菓子が鎮座していることを尊重し、
その伝統と味を守る作り手と、それこそが本物!と、解って戴けるお客さまがいて下さるから…
ということに尽きると思います。
どら焼き一つとっても、さまざまな餡で試せば粒あんが一番合うと良く解ります。
その絶妙なるハーモニーを、わざわざ生クリームでかき乱す必要があるのでしょうか?
大福は、ご存知のように餅で出来ています…いや、できているはずです。ところが今や、格安の
求肥と添加物でこしらえ、苺をのせる。評価を恐れず言わせていただけば、苺農家の方が
丹精込めて作られた「苺」が美味しいから、「苺大福」が美味しい気がするだけ。
そもそも翌日になっても硬くならない大福を不審に思われなくなったのは、一体いつからでしょう。
最高級の国産もち米100%で作る大福と、栃木の誇る苺。それぞれの味を、それぞれに食して
こそ、本当の良さが解ると信じてやみません。

 

先日、そして本日と、遠くからわざわざ足を運んで下さるお客さまが口々に話されることは、
「大切な人への進物は、やっぱり本物を持参したいからね」と仰って下さいます。
老舗の蕎麦屋が、奇をてらったメニューなど加えず、愚直にその製法・その味を守っているように、
当店もまた、本物志向・本物の和菓子の味の解るお客さまのために、その期待を裏切ることなく
精進していきたいと思っています。

 

日本に老舗が多いのは、そうした伝統を大切にし、粋で、本物が解る人が多い国だから…
かもしれませんね。

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