ちょうちょ
2012年5月1日
風薫る、五月ー
若い葉と葉が重なり、交わりあって結ばれたような形に見えることを「結葉(むすびば)」といいます。
さやさやと優しい音をたて、5月の光を透かして揺れる結葉…。
万葉人たちと同じ自然のアートを見られる贅沢に浸った気持ちになれる、大好きな季節です。
ところで、万葉といえば…
気づかれている方も多いと思いますが、万葉集の歌の中にはなぜか「ちょうちょ」が出てきません。
古今和歌集にもやはり、蝶は出てきません。
ずっと昔からいたはずなのに、どうして蝶々は歌われなかったのでしょう。
卵から幼虫、幼虫からサナギ、やがて成虫として蝶になり飛び立っていくをみた時…
いにしえの人は、そのひらひらと舞う美しい姿と、幼虫と成虫の間のまったく異なる姿に、
生まれ変わりの不吉さを感じたのではないでしょうか。
それ故、あえて万葉集でも古今和歌集でも詠まれなかった…と。
であればその逆に、生まれ変わることを心の拠りどころとしていた人がいたはず。
それは、武家の人々。家紋がそれを物語っています。
中でも、家紋に蝶々を使った代表的武士団は平家だといわれています。
蝶々の種類より、蝶々の家紋の種類の方が多いとさえいわれているのですから、驚きですね。
優雅に羽をひろげ、しなやかに舞う蝶々の季節がやってきました。