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「食」こそ芸術

松屋から、四季折々の情景をお伝えします。

「食」こそ芸術
2011年9月1日

今日から9月。
長月とも呼ぶのは、夜が長くなるから…とか。
たしかに、この月に入った途端、暗くなるのが早くなるような気がします。

 

8月最後の夜ー
夏の終わりともいうべき昨夜、わたしは夢のようなひと時を過ごしました。
ずっと憧れていた、パティシエ・西原金蔵さんのデザートを堪能する機会に恵まれたのです。
それは、西原金蔵という一人の人間を、丸ごと知ることができる…といっても過言ではない、
「本物の真髄」という本が出版され、その記念パーティーの席でのことでした。
会場は宇都宮のオトワレストラン。
アラン・シャペルの弟子、音羽さん&西原さんによる、まさに夢のコラボ。
京都から駆けつけられた西原さん自らが厨房に入られ、わたしたち出席者は、
ゆっくりと流れる時間の中で、つくりたての3種のデザートを愉しみました。
それはどれ一つとして奇をてらったものではなく、むしろオーソドックスなデザートなのに…
一つひとつが新鮮で、奥深くて、やさしくて… 
その美味しさ、その満足度は、とても言葉にできるレベルではありませんでした。
ただ、はっきりと感じたのはー
「お客さまに悦んで戴きたい。お客さまに愉しんで戴きたい」という、西原さんならではの、
極上エッセンスがたっぷりと含まれていた…ということ。
わたしは「ごちそうさまでした」と、何度も何度も心の中で手を合わせました。

 

芸術と呼ばれるものは数多くありますが、
まずは目で愉しみ、次に舌で味わい、さらに胃袋を悦ばせ、ついには心をも満たす。
おまけに翌日までもその余韻に浸らせてくれるー  
そこまでの倖せを感じさせてくれるものが、はたして他にあるでしょうか。
「食」とは、なんて素晴らしい!これこそ芸術の極みであると、痛感しました。

 

和菓子も、和菓子ならではの素晴らしさがあるように思います。
例えば、陰暦9月9日の重陽の節句。「菊の節句」とも呼ばれています。
昔、生命力の強い菊の花は霊草とされており、重陽の前夜、菊花の上に綿をおいて、
夜露・朝露・香りを移したものを、「着せ綿」と呼び、その綿で顔を拭いたり衣服に使用したりして、
不老長寿を祈ったといわれます。
今では耳にすることもない風習ですが、和菓子にはその「着せ綿」というお菓子があるのです。
はんなりとした色の菊の練切の上に、綿に見立てた白い練切をのせた上生菓子です。

 

古の、そんな雅な風習を再現する…  
これぞ和菓子ならではの醍醐味、といえるのではないでしょうか。

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