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木漏れ陽
2012.11.06

 

     

      ♪誰かさんが、だれかさんが、だ〜れかさんが見つけた

          小さい秋、ちいさい秋、ちっちゃい秋み〜つけた♪

 

 銀杏の落ち葉を目にする季節になると、自然に口づさんでしまうこの歌。

 幼い頃、祖母と手をつなぎ近くの銀杏並木を歩くたびに歌ったものでした。

 

 小春日和に誘われ歩く街並みが、刻一刻と秋色に深まりゆくを見るのが大好きでした。

 黄昏どきには、大空一面があかね色に染まり、山並みの向こうへと帰り飛ぶ雁を、

 見えなくなるまで見送ってから家に帰る…そんな子どもでした。

 

 今もやっぱり秋が好き。

 どんなに素晴らしい絵画も、どんなに豪勢なご馳走だって、秋の夕焼けには勝てません(笑)。

 

 今日は「立冬」。

 暦の上では冬のはじまりですがー

 時おり、まるで夏が忘れ物を探しにきたかのように、突如あたたかな日が訪れます。

 そう、小春日和。

 猫でなくとも、縁側で日向ぼっこをしたくなるような日、ですね。

 ちなみに、北欧では「インディアンサマー」、ヨーロッパでは「老婦人の夏」と呼ばれています。

 やはり日本人は、名付けの天才だと思いませんか?

 そのものズバリではなく、そこには溢れんばかりの情緒があります。

 いかに感性が豊かであるか…そうしたところにこそ色濃く現れるのかもしれません、ね。

 

     

      

      手をつなぎ小春日和の散歩道 揺れる木漏れ陽二人を包まむ

 

 

 

 

画像
 


秋明菊のお友だち
2012.10.21

木々の葉がほんのりと色づき、秋の花が次々と咲きはじめました。

 

そんな中、わたしの大好きな秋明菊も、可憐な花を咲せています。

おさない頃は、野原いちめんに咲くコスモスが何より大好きでしたが、

亡き祖母が、庭に純白の秋明菊を植えてからは、なんとも形容しがたいその可憐さに、

すっかり魅了されてしまいました。

ただしこの花、地植えにすると強いのですが、鉢植えだとあまり丈夫とはいえません。

ひとたび水を切らせば、葉がチリチリとなり、やがて息絶えてしまうのです。

人も植物も、水がなければ生きていけない…という当たり前のことを、あらためて痛感させられます。

 

一方、アスファルトの隙間から顔を出す雑草。

雨が何日も降らずとも、土の栄養分さえほとんどないはずなのに、

ひたすら成長し花までつけるその姿に、わたしは幾度感嘆の声をあげたことでしょう。

多くの通行人に踏みつけられながらも、太陽の光を浴びることだけを夢見てのびてくる雑草は、

まさに「いのちの塊」。

ちいさな黄色い花を咲かせ、風に揺れる姿に、わたしは心の中でいつも拍手をおくっています。

我が家の庭に咲く秋明菊の傍らにも、ちいさな名も無き花が、ひとつ。

秋の柔らかな日差しの中で、秋明菊と愉しそうに語らっていました。

         

 

         美しき花に劣らじ雑草の命いとしや秋の陽だまり

 

 

 

        


 
 

 

 


無花果の実
2012.10.12


秋の味覚ー 

その名の通り、秋は本当に美味しいものが盛りだくさん!

栗・松茸・さんま・りんご・柿など、数え上げたらきりがありません。

そんな中、大好きだった祖母を想い出す果物があります。

それは、無花果(イチジク)。

 

祖母の家には、それはそれは大きなイチジクの木がありました。

完熟をそのまま食べるのが美味しいのですが、生のままでは日持ちがしません。

そこで祖母は、ハチ蜜に漬け込む方法をあみだしました。

それを瓶詰めにし、トーストしたパンにつけて食べたり、お茶や紅茶のスイーツとして愉しみました。 

 

ところがー

観光で鶴ヶ城に立ち寄る方などが、たわわに実ったイチジクについ手をのばし。。

ということが多くなり、完熟を待ってとろうとするころには、無くなってしまうのでした。

わたしと叔母は、「とるべからず」の張り紙をしようか、いや立板に書こうなどと言い合っていると、

祖母は、

「いいじゃぁないか。美味しそうに実っているものだから、思わず手がのびるんじゃろう。

手塩にかけたものが、誰にも見向きもされずにおるよりも、そうやって手をのばされ、

美味しく食べてもらえる方がずっと倖せじゃ」といって、にこにこ笑うばかり。

不思議なことに、いつしか叔母もわたしも、祖母と同じような気持ちになっていました。

 

 

この季節になると、あのたわわに実ったイチジクの実が、祖母の微笑みと共に

懐かしく想い出されるのです。



DSC01401.jpg

 

 

 

 

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